『真っ赤なりんご』第一話:カモメとりんご

ある街のお話。
その街の真ん中には大きな丘がありました。
丘に登ると街が全部見えました。
学校も公園も百貨店も。
隣の街の観覧車だって見えました。
丘の上には小さなりんごの木がありました。
木の他には何もありません。
丘の上にはりんごの木がただポツンとあるのでした。
りんごの木は実を一つだけつけていました。
たった一つだけ。ポツンとあるのです。
そのりんごはもうそれはとてもとても真っ赤で町中のどのりんごにも負けません。
明るい時間には陽の光で輝き暗い時間には月の光で輝きます。
ある日一羽のカモメがやってきました。
カモメは一目で分るほどとてもとても悩んでいました。
疲れてもいるようでした。

りんごはそっと話しかけました。
「どうしたの?疲れているの?」
カモメはうなだれたまま
「君にはわからないさ。だってそんなにきれいに真っ赤なんだもの。」
カモメは自分の体の色に苦悩しているのでした。
「もっとかわいい色の鳥に生まれていたら
もっと愛してもらえたはずなのに。」

りんごが言いました。
「君の体の色はとても素晴らしい色だよ。何も落ち込むことはないんだよ。だから自信を持って。」
しかしカモメはうなだれたままでした。
「素晴らしい色も何も白なんだよ、色が無いんだよ。」
りんごは微笑みました。
「じゃあ私の傍へおいで。君がどれだけ素晴らしいか教えてあげるから。」
カモメは言われる通りにりんごの傍へ飛んで行きました。
そしてカモメは驚きました。
輝くりんごに映ったカモメはピンク色でとてもかわいらしかったのです。
「君の白と私の赤でピンクだね。白色はとっても素晴らしい色なんだ。」
カモメは少し元気になりました。
仲間のところに帰るとそこには白い体の兄弟達が遊んでいました。
以前と同じ白色の兄弟達をなんだか誇りに思いました。

(つづく)
[物語] 川辺みほ(GiantGrammy)
GiantGrammyの女優であると同時に、GGプロデュースやインディペンデントシアタープロデュース「極-kiwami-」参加公演では、作家としても活躍。 GiantGrammyのサイトではipの連載第一弾だった「川辺的架空小話「Re:」をラジオドラマ用に書き直してオンエア中! 劇団サイト=http://giantgrammy.com/ 個人ブログ=http://ameblo.jp/mihogram/

[イラスト] 千歳晶子(隕石少年トースター)
ほっこりするコメディ「ピクニックコメディ」を信条とする劇団、隕石少年トースターの女優。小学生からやり手の突撃レポーターまで幅広く演じる。 ミュージカルと軽音部で鍛えた歌声や、イラストなど多彩な才能を発揮。今回で川辺みほとの初コラボが成立! 劇団サイト=http://www.inseki.jp/ 劇団ブログ=http://sky.ap.teacup.com/inseki/