【第1回目テーマ】煩悩no.109「ベタな出会いから恋に落ちたい!」

食欲、肉欲、睡眠欲…。人は多かれ少なかれ煩悩を抱えた生き物。全てが満たされるわけじゃないけれど、煩悩があるからこそ生きていける。ノーボンノー!ノーライフ!
というわけで、今月より始まりましたコラム「109個目からの煩悩」では、108つなんかで収まりきるわけがない「あれしたいー!」「これしたいー!」な煩悩の数々を、 勝ち犬気取りの負け犬女・長滝安希が思い勝手に書き綴ります。

記念すべき第1回目のテーマはこれっ!
「ベタな出会いから恋に落ちたい!」
女32歳ともなれば、もう立派な大人である。結婚して家庭を持ち、子供を育てていても全くおかしくないお年頃。
すっかり出遅れてしまった私に母は言う。「この際、順番間違えてもいいから…」。
娘の理想が年々高くなっていくのと反比例して、親の制約はどんどんゆるくなってきているようで…。
「恋はするものではなく、落ちるもの」とは誰の言葉だったか。そう、もうここまできたら、勢いに頼るしか方法がない!
劇的な出会いからトントン拍子にゴールイン!ってな驚きの展開に、なんとかもつれこむことができないだろうか…。
ベタな出会いの王道中の王道といえば、
「坂道でオレンジころころ」。

「紙袋を抱えた買い物帰りの女性。何かの拍子にその紙袋を落としてしまい、坂道を転がってくオレンジ!オレンジ!!オーレンジ!!! その転がるオーレンジを拾い上げてくれた通りすがりの男性の、ニッコリ笑顔にドキーン?」

・・・とまあ、こんな感じ。
私の煩悩をギュンギュン刺激する、憧れのシチュエーションである。
しかしながら大阪市内には、「オレンジころころ」が似合ういい感じの坂道がなかなか存在しない。
例え見つけられたとしても、その坂道にタイミングよく素敵男子が現れる確率は、限りなくゼロに近い。

もっと成功率の高い、ベタシチュエーションを狙わなければ・・・。

じゃあ、これはどうだろう?「本屋さんで同じ本を取ろうと手をのばした男女の、手がふれあってドキーン?」パターン。
本屋は「カシコ」の聖地。インテリ&メガネ男子好きな私にとって、打ってつけの場所ではないか?
しかも手に取ろうとした本が同じということは、興味の矛先、つまりは価値観も似ているということ。
長年連れ添うにはぴったりの存在ではあるまいか!(と、ここまで書いてきて、妄想がだんだんエスカレートしていることに、若干の不安を覚える)。

--------しばしクールダウン--------。

実のところ、「本屋さんで手がふれあってドキーン?」を実際に経験後、おつきあいスタート→ゴールインした女性をひとり知っている。
その出会いのエピソードを聞いた瞬間に、えもいわれぬ高揚感を味わったのは言わずもがな。
が、しかーしである。よくよく聞いてみると、男性の方は確信犯だった模様。
要は新手のナンパである。偶然でもなんでもない、下心ありありの恋(故意)の罠。

偶然ではない必然が、ある意味運命であるのなら、もうこの際それでもええわ…。
ジュンク堂のキノコかクラゲの図鑑前で、素振りしながら待ちます。
110個目の煩悩へ続く・・・

[コラム] 長滝安希 (ババロワーズ)
ええ大人がバカバカしいことをとことん本気で表現していく、関西小劇場界の自称・秘密兵器「ババロワーズ」在籍。
クロムモリブデン、208+での映像制作活動を経て、裏方からいつのまにやらコメディエンヌに。また、お洒落とは対局にあるアホアホ映像作品も多数発表。が、本業はフリーライター。
劇団サイト=http://babarowa.sakura.ne.jp/ 個人ブログ=http://atamatokokoro.jugem.cc/