2006/12/18 PRESS RELEASE


■France_panの代替作品上演の経緯に関して■

先月公演を終了した、France_panのロングランプロジェクト参加公演に関して、上演予定作品の変更及び代替作品による上演が行われた件に関して、劇場サイドとしてその経緯をご報告いたします。

既に多くの方がご存知かと思いますが、今回France_panは、当初の上演予定作品「豚とオートバイ」において、上演許可の申請を出さずに上演計画を進めるという、アーティストとしてあってはならない事態を引き起こしてしまいました。
この経緯に関しましては、France_pan自身がWebサイト上に、その経緯と顛末を公演前から現在まで引き続き掲載しておりますので、ご参照ください。

劇場側が、上演許可を取らずにFrance_panが上演計画を進めていたことを知ったのは、事態が発覚し主宰の伊藤氏本人から報告を受けた時点でした。
ロングランプロジェクトは、企画のアウトラインを劇場側が設定し、その中身を作品的・制作的に劇団各々が立案し、打ち合わせを進めながら双方の意見で より良い公演計画にしていくというプロジェクトです。
その打ち合わせの過程で常に上演許可の件は話題にしていましたが、担当者の「上演許可の手続きは進めている」という言葉を信じ、 プロジェクトが広報面に進む段階においては上演許可は取れているものと信じきっており、まさか許可申請が行われていないとは夢にも思っていませんでした。

しかし、ここには劇場側にも責任があったと反省しております。期限を区切って、そこまでに上演許可を取り、その許可書類を劇場に提出するよう求めるべきでした。
当劇場では、上演される作品の9割5分以上が書き下ろしのオリジナル作品あるいは本人による再演であり、既成作品の上演の場合には劇団側に手続き等を全て任せていました。
既成作品に関する、劇場側としての取り組みの甘さが出てしまったと思います。今回の経験を踏まえ、今後既成作品の上演に関するチェックは厳しく行うよう劇場として姿勢を改めたいと思います。

France_panの経緯にも書かれている通り、伊藤氏と翻訳者の熊谷氏とのやり取りの結果、最終的に上演許可を受けることができないことになりました。 大変な無礼にも関わらず、粘り強く対応を続けてくださった熊谷氏に、私たちも大変感謝しております。

その結果を受けて、選択肢として劇団劇場双方から幾つも提案がありました。公演自体の中止、代替作品による上演、規模を縮小しての代替作品上演、etc。 その中で、France_panが劇団内ミーティングの結果選択したのが、代替作品での企画継続でした。上演許可が取れていると信じて半年以上も準備を進めてきた役者やスタッフ たちのエネルギー・気持ちのやり場は、もはや作品以外に無いという結論だと聞いています。それは同時にアーティストとして失った信頼は、 アーティストとして(作品で)しか取り戻すことは出来ないという考えだと思います。

それを受けて、劇場側としては、彼らの選択と行動を支援することに決めました。これは劇場にとっても困難な選択でした。問題を起した集団を放置し、 甘やかしているように受け取られる可能性が高い上に、プロジェクトに参加する他の劇団にも影響が波及してしまう可能性があるからです。

公演を中止するべきだという意見もあると言えますが、今、批判と好奇の目にさらされている彼らが公演をするということは、より彼らの作品、姿勢、 行動に対して厳しい目で観客・演劇関係者に迎えられることになり、公演を自粛して座して機会をうかがう(言い方が悪いですが、あえて言えばほとぼりを冷ます) よりも辛く厳しい選択であると思いました。
彼ら自身、そのことを自覚した上で公演の継続を選択したはずです。今公演は、彼らにとって集団の存続を賭けた贖罪の公演であると言えます。集団は維持できるのか? 観客はついて来てくれるのか?作品は受け入れられるのか?いつも以上に厳しい状況・線引きの上で作品を創り上演していかなくてはなりません。 それでも「やる」というその気持ちに劇場は応える決断をしました。

また、もしも今回の件が、France_panで無ければ、違う判断をしたかもしれない事を書き加えておきます。私たち劇場は、全ての劇団・表現者に対して平等に一定の 基準で判断することも重要ですが、同時に個々のアーティストや劇団と日々接して作品を世に送り出している わけで、個に対する視点を失っては劇場を経営していくことは出来ないと考えています。そうした中で、France_panと伊藤拓は信頼に足ると判断し、 支援するべきであると判断しました。

今回の件に関して、様々なご意見やご感想をお持ちの方がいらっしゃると思いますが、我々としてはFrance_panが公演を代替作品で継続するということが、 全く反省が無かったということや、劇団の体面の為にやったわけではないということ、劇場も安易に公演の継続を許可したわけではないという事だけはご理解いただければ 幸いです。

結果でしかありませんが、今回上演した代替作品「スペアー」は、多くの方から作品として良い評価を頂きました。やや難解で掴み所の無い作品ではありますが、 とても興味をそそり、観た後に不思議な満足感を得る作品となりました。彼らのそれでも演劇を続けていくんだ、今回の過ちを背負っていかなくてはいけないんだという 気持ちの現れた作品だと私は感じています。
彼らが、今回のことを無かったことにするのではなく、背負い続けてそれでも作品に、世界に向かい続けてくれることを私は信じています。
劇場プロデューサー:相内唯史


このリリースと同様に、France_pan側でも代替作品上演の経緯を掲載しておりますので、ご興味がおありの方は合わせてご参照ください。

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